王家衛監督『花様年華』

久し振りにワインを飲みつつ、何度目かの観照。

何度観ても新たな発見があり、問いかけがあり、新たな解釈や視点が新たな謎を、問いかけを呼び込んでくれます。

1969年代の香港に拘ってきた王家衛監督の一つの到達点。

王家衛監督の生きて来た道のりと、その過程で辿り着いた様々な人生観が全て詰まっています。

それはパーソナルであるが故に普遍的なものとなり昇華される。

まだ見ぬ60年代の香港を想い、どんよりとしたロンドンの情景を想い、関門海峡に置いてきた「何か」を想う。

村上春樹先生の短編小説『中国行きのスロウ・ボート』を想い、湘南で見失った「何か」を憂う。

振り向くと、遠くまで歩いて来たのだと、其処此処に自分の何かを置いて来ていたのだと、痛感させられる。そんな映画でした。

沖縄の潮風を想い、台湾の裏道を想い、刻の移ろいを想う。

この映画を鑑賞しますと、

「まだだ。まだ終わらんよ」

と心の襟を正して、もう一度ギアを入れ直すことが出来ます。

「音楽は止んだ。でもメロディーがまだ響いている。」
(村上春樹先生著『羊をめぐる冒険』)

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