『攻殻機動隊』一気見 stand-alone complex

auビデオパスにて攻殻機動隊シリーズを一気見しました。

『パトレイバー』や『イノセンス』もそうでしたが、押井守先生の世界観がようやく繋がり押井守先生の生き様や世界観がどの様に反復され、強度を増していったかを追体験できました。

押井守先生とProduction I.G との理想的な関係性と距離感、哲学と生き様の共有関係も感じられ、自分を再度見つめ直し、原点回帰とその先を模索する手がかりになりました。

「水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる。」

「自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に重りをのせなくば、社会の規則に従いしも、自身を失うことなし。」

 

「状況をコントロールする抗えない力」を前にしても、悪を為さず、低きに流されることなく、都合のいい情報にだけ飛びつく事なく、誰かの思惑に乗せられる事なく、己の信念を貫き通せるか。

「孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように」

その中で、押井守先生が描いてきた理想である「人の上部構造への移行。硬化したシステムを捨て、人とネットとが融合するということ。」をどの様に求め続けるのか。

桃源郷や西方浄土、ニライカナイ、霊的な存在などと同じ様な「人の上部構造への移行」

富野由悠季先生ならば「ニュータイプへの覚醒」と呼んでいたものに通じるものへ、人は己の脳を覚醒し、新たな段階へと高みを目指していくことが出来るのか。

この普遍的な問いかけを改めて自分に問いかけ、何度目かのアンダーラインを引きました。

孤独を埋めるのに何にすがるのか。

すがる事なく、立ち続ける事は可能なのか。

依存するだけでもなく、依存されるだけでもなく、ちょうど良い塩梅の距離感と関係性で心を許せる「真のパートナー」に巡り会う事はできるのか。

今までもずっと考え続けてきて、これからもずっと考え続けていくしかない。

少なくとも、私の先には、孤独を生き抜いて立ち続けている尊敬する先達がいる。

それが唯一の希望であり、諦める事なく愛と勇気と誠実さを持って、信念を貫いていく根拠となっています。

「自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に重りをのせなくば、社会の規則に従いしも、自身を失うことなし。」

この普遍的な考えに即して自己を見失う事なく生き延びていこうと思います。

気になった台詞を備忘録としてメモ。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 

クゼ「水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる。思想ウィルスを乖離し、出島に戻った俺に難民の多くが結線し始めました。俺はその時から彼らの意思を重視し、彼らの望みに助力することだけを唯一の行動原理と決めた。それで彼らのリーダーになることは、さほど難しくなかった。」

クゼ「それ意外の意識にはフィルタリングをかけ、絶えず結線してくる難民の意識を俺の抱く理想と並列化できるように努める。人は本来、他者の介在があってはじめて存在しうるものだということを難民に教えられた。」

老人「自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に重りをのせなくば、社会の規則に従いしも、自身を失うことなし。」

クゼ「その普遍的な思想がとても口当たりの良いものに感じられました。しかし、その難民も一度ネットを介しヒエラルキーの上層の存在を知ると、そのことを忘れ、みな低きに流れていってしまう。力を持てば、それを固持したくなる。武器を持てば一度は使ってみたくなるのと同様に」

老人「それが分かっていて、なぜ事態をここまで引っぱった。革命などという世迷い言が簡単に成就できると本気で考えていたのか?」

クゼ「いいえ、ですが俺が考える革命はもう少し先にある。今はその革命のゴールである上部構造に人々を向かわせるための前段階だと考えています。今この地上を覆い尽くさんとしているネットワークはすでに下部構造と化し本来の目的を終え、別義を創造している。」

クゼ「そこからは不可分ながら土台たる下部構造に対し、確実に真偽ある反作用を及ぼす存在となり上部構造へとシフトする。それが俺の考える革命の定義です。(この思想を難民達と)潜在的には共有しているはずですが、具体的にはまだ…」

クゼ「俺がイメージする革命・解放。人の上部構造への移行。硬化したシステムを捨て、人とネットとが融合するということだ。」

クゼ「俺は半島での出来事で人生を達観した、矛盾した秩序、強者による搾取、腐敗した構造、だが最も俺をがっかりさせたのは人々の無責任さだった。自分では何も生み出すこともなく、何も理解していないのに、自分に取って都合のいい情報を見つけるといち早くそれを取り込み踊らされてしまう集団」

クゼ「ネットというインフラを食いつぶす動機なき行為が、どんな無責任な結果をもたらそうとも何の責任も感じないもの達。俺の革命とはそういった人間への復讐でもある。」

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

「真実は既に現象の前に沈黙した。今は口を噤み難民にも真実を隠したまま何処かでもう一度状況を転倒させるチャンスを探している。」

「模倣者を生み出す為の媒介者の創造。元々この社会はこういった事態を生み出しやすい要素を内包してる。人類の歴史は神話や伝説といった類をプログラムした権力者達によって作られてきた訳だからな。そんな世界で誰にも知られず自己顕示欲だけを肥大化させてきた誇大妄想狂が、自分の身の丈以上の英雄をプロデュ スしたくなった。そんな犯罪者が作った似非スタンド・アローン・コンプレックスだったんじゃねえのか?」

「奴等の思想やウィルスから見えてくる犯人像は、自身の劣等感から抜け出したいと言う欲望に支配された個別主義者の顔だけだ。所詮個人的な思い付きを他人に強要しているだけでは他人の心を打つ事は出来ねえ。そこには善意でも悪意でもいい、何かしら『確固たる信念』の様な物が無い限り天才とか英雄と呼ばれる存在には成れねえ。」

「そしてもう一つ。絶対に必要になってくる最大の要素。運って奴も不可欠だろうな。」

「天才とか英雄の存在なんて物は詰まる所第三者の主観による所が大きい。英雄を英雄たらしめる為には傍観者によるレスポンスがまずは必要なんだ。そしてそのレスポンスの内容が英雄を高みにも上げるし地に貶めもする。それこそは運でしかねえ。」

「これをやったのは本当にクゼなのか?実は奴をプロデュースしている犯人の捏造なんじゃねえのか?もっと言えばそのプロデュースしている犯人は自分でも気付かない内にクゼに手を貸し、奴の行動を模倣し始めてると言えなくは無いか?」

「クゼは択捉から出島に戻ったが、その手にプルトニウムは無かった。本来ならその事を難民に告げ、一旦事態を収拾したかった筈だ。なのにプルトニウムを使ったテロ迄起きた。ではどうするか。自分をプロデュースしようとする者の思惑に乗ってブラフで宣戦布告するか?だが奴は何もしなかった。今は口を噤み、難民をも黙らせ、事態を逆転出来るチャンスを窺っている。いや寧ろ、口を噤んだ事で状況をコントロール出来るカードを得たのは、もしかしたらクゼの方なんじゃねえのか?本来不確定要素でしかなかったクゼが実は真の天才、英雄なのだとしたら?いつの間にかプロデュースしていると思っていた奴の方が、いつしかクゼの模倣者に成り下がっちまっていたとは考えられねえか?」

「もし私が犯人なら、義体化以前、童貞だったと言う因子を組み込むだろう。」

「何だと?」

ゴーダ「民衆の為の英雄に殉教する覚悟を求めるならそれは欠かせない要素だ。尤も、それだけの逸材が何人現れるかは賭けだったがね。」

「貴様・・・人が悪いにも程があるぞ。」

「そうかな?斯く言う私も童貞でね・・・君とのお喋りは楽しかったよ。いや、参考になった。感謝する。私の戦いもまだ終わりではない。君達が私を止めるのが先か、私の想いが帰結するのが先か、ここからは不確定要素が鍵を握るだろう。」

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

草薙「こういう事態の中で先導者の役割は壮大で不安に満ちている。多くの者を導かなくてはならない立場においては時に状況に応じた独断を迫られる。その事を彼等も分かってくれているだろう。」

クゼ「だと、良いのだが。」

クゼ「お前も孤独を生き延びた人間らしいな。名は?聞いていなかったが、何と?」

草薙「忘れた。偽名はあるがな。それはお前も一緒だろ?」

クゼ「そうだな。いくつかの名を難民から貰った。俺は彼等を救うつもりで行動を共にしていたが、本当は孤独を埋めたくて一緒に居ただけなのかもしれん。」

草薙「だが、結局は埋まらなかった。頼られる事はあっても頼る事は出来なかった。」

クゼ「お前には、心を許せる誰かがいるか?」

草薙「いなくはない。」

クゼ「そうか。俺は、ずっと探している。」

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

ワタナベ「奴隷の国が奉仕を怠れば消費の国が餓えるのは必然。人手不足は奴隷製造業を潤すが権利を主張し過ぎれば資本主義の血脈が硬化する。」

ゴーダ「我が国は脳こそ資本主義を名乗ってきたが実情は理想的な社会主義国だ。だが老廃物が溜まれば血の配分を操作出来る脳が必要になる。それは自由と平等を謳う貴国とて同じだろう。」

ワタナベ「勿論。だが本音と建前は別腹だよ、はははは。」

サトウ「鶴?ふーむ、にしてもよく効くな、このマイクロマシン。苦しまずに死ねるよ。君はとても興味深い人物だが、我々にとっては危険な因子だ。貴国にはコントロール出来ないカリスマ指導者は要らない。従順な消費者が居ればそれで良い。」

クゼ「先に・・・行くぞ・・・」

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

草薙「クゼ。お前は何故難民のリーダーになった?そもそも、ウィルスによる思想誘導からどうやって抜け出した?」

クゼ「俺は元々難民を解放しようと言う目的があった。その為個別の十一人が発症した訳だが、奴等と行動を共にした時思想の差異に気付いた。ウィルスが分離出来たのもその為だろう。」

草薙「では何故難民の解放を?ユーラシアを彷徨った様だが、それと関係があるのか?」

クゼ「それは・・・直接関係無い。大陸を旅したのは自分の動機を再確認する時間が欲しかっただけだ。俺がイメージする革命、解放を実行する事が出来るのかをな。」

草薙「お前の言う革命とは何だ?」

クゼ「人の、上部構造への移行。硬化したシステムを捨て、人とネットとが融合すると言う事だ。」

草薙「ネットと融合するだと?」

クゼ「俺は半島での出来事で人生を達観した。矛盾した秩序、強者による搾取、腐敗した構造。だが俺を最もがっかりさせたのは人々の無責任さだった。自分では何も生み出す事無く何も理解していないのに、自分にとって都合の良い情報を見つけるといち早くそれを取り込み踊らされてしまう集団。ネットと言うインフラを食いつぶす動機無き行為が、どんな無責任な結果をもたらそうとも何の責任も感じない者達。俺の革命とはそういった人間への復讐でもある。」

草薙「復讐?」

クゼ「俺は子供の頃から全身義体だった為に心と体の不一致を絶えず感じていた。出来る事なら不自由な体を捨て、ネットの海へ漕ぎ出したいと考えていた。そんな俺にアジア難民達は少なからず生きる希望を与えてくれた。彼等は俺の作り物の顔をとてもいい顔だと言い、ゴーストが顔に現れているのだと褒めてくれた。俺はその時初めて肉体と精神は不可分な存在なのではないかと実感し、自分も肉体を持つ人間なのだと思う事が出来た。だが、そんな彼等も一度口当たりの良い情報に出会うと、やはり都合の良い方向へと簡単に流れていってしまう。人間は元々低きに流れる様に出来ているものらしい。」

草薙「で、復讐をどう果たすつもりだ?」

クゼ「俺に結線している者の記憶とゴーストをネット上に運び去る。核が投下されればそれで彼等も肉体を喪失するが強制的な進化を遂げる可能性が手に入る。」

草薙「彼等がネット上で個を特定し続けられる可能性は?」

クゼ「それは分からない。だが先駆者として下部構造に残った人間に対し絶えず上部構造を意識させ、啓発していく存在にはなれるだろう。太古の昔人類が霊的な存在に対し尊敬や畏怖を感じてきた様にな。」

草薙「それがお前を落胆させた者達への復讐と救済か?」

クゼ「俺は革命と信じているがな。お前も見た所全身義体の様だな。なら肉体と精神の不一致と言う疑心暗鬼に悩まされた経験は少なくはあるまい。どうだ、俺と一緒に来るか?」

草薙「難民は、行くつもりなのか?」

クゼ「ああ。残念ながらな。彼等の多くは核による自爆テロと言うシナリオを実践する事の方を望んでいる。自分達は負けなかったと思い込みたいんだろう。それもまた低きに流れる行為だと言うのに・・・」

草薙「そうか。」

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